チャンネルフロー電極法 (CFDE) 及び電気化学水晶振動子微量天秤 (EQCM) 法を含めた電気化学測定を用いてLiBr水溶液中での銅と炭素鋼の電気化学反応機構を解析した. LiBr水溶液中での銅の活性溶解反応機構は以下に示すものであった.
Cu+Br-→CuBr+e-, CuBr+Br-→CuBr2-
また水溶液中で銅の不均化反応 (Cu+Cu2+=Cu+) をCFDEにより検討した. 開回路電位とした銅電極とCu (II) から生成するCu (I) を検出することで不均化反応速度を評価できる. その結果, 不均化反応速度は, LiBrの存在で加速され, 以下の反応式で示されることがわかった.
Cu+Cu2++4Br-→2CuBr2-
LiBr水溶液中での炭素鋼のアノード分極曲線では低アノード過電圧では自己不働態化, 高アノード過電圧では孔食による炭素鋼の溶解が見られた. さらに100kHzのEQCMに鉄シートを貼り付け, アノード分極曲線と電極質量変化を同時測定した. 最後に, CFDEとEQCMを用い, Cu (II) を含むLiBr水溶液中での炭素鋼の置換反応について検討した.