材料と環境
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53 巻, 6 号
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  • 藤本 慎也, 竹本 幹男
    2004 年53 巻6 号 p. 309-316
    発行日: 2004/06/15
    公開日: 2011/12/15
    ジャーナル フリー
    タイプ304オーステナイト系ステンレス鋼薄板の38%MgCl2溶液中における粒界 (IG) SCCと粒内 (TG) SCC中の電位ノイズ (PN) とAEを解析した. AEとPNは粒界型SCCでは検出されたが, 粒内型SCCでは電位ノイズのみが検出された.
    熱応力と引張り負荷応力の組合せ応力でのSCC試験では, 孔食, 隙間腐食, 孔食経由のIG-SCCがおこった. これらの腐食損傷は, 特徴のある電位ノイズを発生した. 実験初期 (ゾーンI) における孔食に伴うRD-タイプ (卑電位への急速シフト) に加えて, 中期 (ゾーンII) にはRRタイプ (貴電位への急速シフト) が検出された. 高速粒界割れに伴うAEは, 振幅が小さく周波数成分の低い (<0.07Hz) RDタイプの電位ノイズが検出されるときに検出された. ゾーンIIIにおけるAEとPNのタイミングは2タイプに分類された. AEのすぐあとに検出されるRDタイプの電位シフトは, 新生粒界のアノード電流を示唆し, AEのすぐ前に観察されるRDタイプの電位シフトは孔食底からのIG割れによるものと考えられた.
    TG-SCCはAEを発生しないが, 周波数成分が0.016Hz以下のRDタイプの電位ノイズを発生させる. TG-SCCの電位シフト速度 (0.08mV/s) は, IG-SCCのそれ (1.4mV/s) の6%であった.
  • 宮澤 正純, 井上 博之
    2004 年53 巻6 号 p. 317-321
    発行日: 2004/06/15
    公開日: 2011/12/15
    ジャーナル フリー
    直線分極法や電気化学インピーダンス法 (EIS) とは異なり, 電気化学ノイズ法 (ENM) は電極の分極抵抗 (Rp) を, 電流の印加による電気化学的外乱の無い条件下において測定をおこなえる. しかしながら, 直線分極による場合と同じく, 電気化学ノイズ法で測定されたRpは, 電極間の溶液抵抗 (Rs) の影響を受ける. これは, 低伝導度溶液中で測定されたRpに大きな誤差をもたらす可能性があるにもかかわらず, Rpに対するRsの効果はほとんど検討されていない. 本研究では, 希薄な塩酸水溶液中での炭素鋼電極のRpを, 同じ条件下において, ENMとEISの両方を用いて測定した. ENMによるRpの誤差をEISでのRpと比較することにより評価した. 後者はRsの影響を受けないと考えられる. ENMによるRpはEISよりも大きく, 両者の差は溶液の濃度とともに低下した. しかしながら, 差の度合いはEISで測定されたRsよりも小さかった. この利点は実験に用いた独特な電極配置によってもたらされたと推察される.
  • 西田 隆志, 境原 基浩, 藤澤 龍太郎, 渡辺 豊, 倉田 良明
    2004 年53 巻6 号 p. 322-328
    発行日: 2004/06/15
    公開日: 2011/12/15
    ジャーナル フリー
    超臨界水技術を実用化するにあたり, 超臨界水環境に耐え得る材料の開発や経済性を考慮した材料選定が重要となる. そこで本研究は, 還元性超臨界水環境および低酸化性超臨界水環境において材料腐食試験を実施し腐食挙動の解明, 材料腐食評価を行った. 結果, SUS316の使用可能環境が明らかとなった. また, Ni基合金については, 還元性環境においてCrとMoが同量程度含まれたMAT21 Hastelloy C-276等の合金が耐食性に優れていることが分かった.
  • 板垣 昌幸, 平田 陽一, 渡辺 邦洋, 菱沼 崇, 町澤 健司
    2004 年53 巻6 号 p. 329-336
    発行日: 2004/06/15
    公開日: 2011/12/15
    ジャーナル フリー
    チャンネルフロー電極法 (CFDE) 及び電気化学水晶振動子微量天秤 (EQCM) 法を含めた電気化学測定を用いてLiBr水溶液中での銅と炭素鋼の電気化学反応機構を解析した. LiBr水溶液中での銅の活性溶解反応機構は以下に示すものであった.
    Cu+Br-→CuBr+e-, CuBr+Br-→CuBr2-
    また水溶液中で銅の不均化反応 (Cu+Cu2+=Cu+) をCFDEにより検討した. 開回路電位とした銅電極とCu (II) から生成するCu (I) を検出することで不均化反応速度を評価できる. その結果, 不均化反応速度は, LiBrの存在で加速され, 以下の反応式で示されることがわかった.
    Cu+Cu2++4Br-→2CuBr2-
    LiBr水溶液中での炭素鋼のアノード分極曲線では低アノード過電圧では自己不働態化, 高アノード過電圧では孔食による炭素鋼の溶解が見られた. さらに100kHzのEQCMに鉄シートを貼り付け, アノード分極曲線と電極質量変化を同時測定した. 最後に, CFDEとEQCMを用い, Cu (II) を含むLiBr水溶液中での炭素鋼の置換反応について検討した.
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