抄録
河川水が流れる鋼製水路橋の内面について, 外部電源方式によるカソード防食を現地試験により検討した. 現地試験は水道水用の河川水を導水する2つの水路橋で実施し, 試験区間は5mとした. いずれも, 水路橋内面はタールエポキシ樹脂で塗装されている. しかし, 塗膜は40年間の使用期間を経て劣化していた. 塗膜には多数の膨れが認められ, さびこぶも生じていた. それにもかかわらず, 一方の水路橋については, カソード防食を適用することができた. 残存した塗膜によって電流分布が改善されたことがその主な理由である. 現地試験の結果, 16mA/m2のカソード電流密度で水路橋内面の電位を防食電位以下に一様に低下させることができた.