材料と環境
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液流動下におけるホスホン酸インヒビターの最適条件
矢吹 彰広國本 英正
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2005 年 54 巻 2 号 p. 74-78

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抄録
化学プラントの冷却水には腐食抑制剤としてホスホン酸が使用される. インヒビターの最適条件を決定するために, すき間噴流法試験装置を用いて液流動下で腐食試験を行った. 比較のため浸漬試験も行った. 工業用水を模擬するためにアミノトリメチレンホスホン酸 (ATMP) および硫酸亜鉛を添加した溶液中で炭素鋼の腐食試験を行ったところ, 液流動下ではATMP濃度150ppm, Zn2+/ATMPが4で最も腐食抑制効果が高くなり, 浸漬試験ではZn2+/ATMPが2で抑制効果があった. 通常, NaClおよびNaClOが溶液中にあると, 腐食は加速されるが, インヒビターが最適な濃度である場合, 浸漬下, 流動下ともにそれらは防食剤として働いた. 材料表面に形成される皮膜はATMPとZn2+からなる錯体皮膜であり, NaClは皮膜を均一にする作用が, NaClOは皮膜形成の初期過程に作用することで, 材料表面への皮膜の密着性を向上させることが分かった.
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© 社団法人腐食防食協会
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