材料と環境
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遮熱コーティングシステムのクリープならびに疲労損傷に及ぼす高温腐食環境効果
松岡 小百合吉葉 正行高橋 智角田 亘原田 良夫
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2005 年 54 巻 5 号 p. 238-244

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抄録
遮熱コーティングシステム (Thermal Barrier Coating: TBC) は, 先進型ガスタービン動静翼部などのようなクリティカルな高温部材において必要不可欠であり, 熱的-機械的-化学的負荷が重畳した複合モードにおける優れた耐久性と信頼性保証が要求されている. 本研究では, Y2O3部分安定化ZrO2をトップコートに用いたTBCシステムに対し, 大気中と2種類の腐食環境中で応力破断特性評価と損傷解析を実施した. 静的クリープ負荷条件下では, 腐食性環境にもかかわらず, TBCシステムは大気中における無被覆材のMar-M247合金と同様に典型的なクリープ損傷挙動を示すことが明らかになった.これに対して動的な疲労ならびにクリープ-疲労負荷条件下では, 大気中および高温腐食環境中いずれにおいても, TBCシステムの著しい破断寿命低下を招く傾向にあった. これはトップコート中にあらかじめ存在する貫通き裂が大気中における疲労き裂, ならびに腐食環境中における腐食-疲労き裂の核形成サイトを提供する傾向にあるためである. さらに, 高温溶融塩腐食環境中ではき裂の分岐やき裂先端の鈍化のような特徴的なき裂進展挙動が確認され, これらはむしろき裂進展を抑制する効果がある. このようなき裂の挙動に及ぼす腐食環境効果について, 主に動的な疲労き裂進展に着目して検討した.
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© 社団法人腐食防食協会
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