論文ID: 0207
〈はじめに〉
点滴強心薬使用中の運動療法は禁忌にはならないが,その安全性や効果については十分に検証されていない.今回,点滴強心薬使用中に安全に有酸素運動が導入できた2症例を通して導入時の心不全管理方法を検討した.
〈症例提示〉
症例1は40歳代男性,LVEFは35%で点滴強心薬使用中でも収縮期血圧が80mmHgと低く,運動時の上昇も認めなかった.強心薬使用下で急性期離床プログラム完遂し,運動耐容能改善目的に有酸素運動を導入し,心不全増悪を認めず退院となった.症例2は70歳代男性,LVEFは23%で重度僧帽弁逆流を呈する重症心不全患者であり,入院中に経皮的僧帽弁接合不全修復術が施行された.術後は強心薬使用下で急性期離床プログラムが完遂し,循環動態改善と運動耐容能改善目的に有酸素運動を導入した.退院時まで心不全増悪を認めず,6MWDの改善を認めた.
〈考察〉
急性期離床プログラムが完遂しさらに心不全症状が安定していれば,点滴強心薬使用中でも安全に運動療法が導入可能と考えられた.