日本教科教育学会誌
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教育課程の意義
武村 重和
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1976 年 1 巻 1 号 p. 21-26

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抄録

わが国の小学校・中学校における教育課程は,ほゞ100年間における経験の集積の上に構成されてきているが,これからも絶えず改善させ,工夫を加えられていく。この発達は,教科中心主義の考え方や児童中心主義と言われているところの,学習者の興味や関心に多大な期待を寄せる考え方,あるいは外界との接触の中から文化を生産し,未来を創造する人間の可能性に無限の期待を寄せる人間性尊重の主張などを歩むことによって為されてきたと言える。最近におけるわが国の教育課程は,この人間性を尊重し,自然や社会における協調を深める試みの中から新しい文化を創造する能力の伸展をはかり,ひとりひとりの子どもが,その個性に応じた生き方を得られるように配慮する方向に進んでいると言える。言語と多様な行動の結びつきは,学習者の考える能力を豊かなものにするであろう。また彼らが情報を探索して,自からの意志決定を確かなものにするであろう。このような最適化の探究は,多くの教師の実践から生れつつあると言える。

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© 1976 日本教科教育学会
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