抄録
教育実習に関し,大学側の能力育成の問題として学習指導案作成の指導がある。現行免許法のもとにおいて,その指導はおおむね教科教育法でなされているが,教育実習受け入れ校側の要望にこたえられるまでの達成には,時間的制約等から難しい。そこでまず,作成指導上の留意点を明らかにするため,学生の作成経験による難易等の意識調査を行った。その結果,学生の多くが学習指導案作成の難しさについて,「単元設定の理由(教材観)」を挙げている。そこで学習指導案作成指導として,教科教育法と教育実習の接点に教育実習事前(及び事後)指導を設け,学習指導案の作成→模擬授業による評価→学習指導案の修正・改善という手順によって体験的な指導を試みた結果,集団による評価及び改善の過程において,学習指導案の見方・考え方及び書き方に対する理解並びに問題解決能力の習得などとともに,教育実習に向けて意欲の高まりがみられた。