抄録
家庭科は,実験・実習を通して,日常生活を営む能力を養う教科である。したがって,その指導にあたる教師は,自ら実践する能力を持っていなくてはならないと考える。しかしながら,今日の大学生は,性別を問わず家庭の生活様式の変化をはじめ,幼児からの受験体制下に組みこまれて成長してきたため,生活実感が希薄であると指摘されている。したがって,大学における「小学校家庭」,「家庭科教材研究」等の指導内容も以上の点を十分考慮したものにすることが必要であると考える。本研究は,熊本大学に在籍する男女学生を対象として,衣生活経営の実態について調査した。その結果,学校教育における家庭科学習経験及び実生活における体験の差,さらに,性別役割分担意識が衣生活経営に影響を与えていることが推察された。