抄録
さきの第1報では,食品重量判別能力の学年差及び男女差について報告した。本報では,このような能力の形成に関わりを持つと考えられる要囚について検討した。2つの食品重量判別能力テスト成績のそれぞれについて,検査器による重量知覚テストの成績,食生活への関与状況調査結果,計量器に関する調査結果との関連性を検討した。その結果何れの場合も関連性は認められなかった。このことは,純粋な重量知覚や,一般的な食生活体験は食品重量判別能力の形成に関与していないことを示している。しかし,第1報で明らかにしたように,食品重量判別能力に年齢的発達がみられるのは確かであり,その形成は,加齢に伴う一般的な知能をはじめ人格の諸特性の発達に関わっているものと推察される。また一方,食品の重量判別は,知党による判別ではなく学習で得られた知識によってなされる場合も多いことが示唆された。