抄録
「自己評価力」の評価を,教材の特質に即した適切なものにするために,単元「化学変化とイオン」の学習で得た自己目標文,自己評価文より生徒の学習観を抽出し,それらを自己学習能力の評価基準(理科)と比較し,特徴を検討した。その結果,化学教材では生徒は,(1)目標時には向上目標に属する内容を,評価時には達成目標に属する内容を取り上げる傾向を持つこと。(2)「科学の方法を習得したい」,「学習内容が説明できる」など,認知領域が自己評価内容の60%を占め,「学習の意義の理解」を取り上げにくいことが明らかになり,中学生に共通した特徴である。これらは,評価者が生徒である以上,教師が自己学習能力の評価基準を化学教材に適用する場合に,考慮すべき必須の要因と考えている。