抄録
現代社会の見逃がせない問題の一つに利己性と大衆性とがある。それは,因果的,経済的立場を,目的的,桁神的,道徳的立場よりも重視する傾向を作りだした。この問題を克服するためには,教育に関して異なる専門研究者が協力しなければならない。それは,その研究者たちの協力によって子どもたちが全人へと教育され,人間力育成のための「ものの見方,考え方」の基木(構成要素)が明確にされなければならないからである。今日は,学歴が能力よりも要求される危険さえ感ずる。このような立場から,改めて教育とは何か,教育内容として教科は何かを問いなおし,子どもの能力を育てる教育を考えてみるべきではあるまいか。子ども各自の人間力,人間的生活力を育てる教科教育,教科教育による人間化,つまり教科教育学の建設が促進されなければならない。