日本教科教育学会誌
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子供の算数文章題の生成および理解に関する研究
石田 淳一多鹿 秀継
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1990 年 14 巻 3 号 p. 95-102

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抄録
算数文章題の解法過程は,一般に,与えられた文章を読んで理解し,理解した内容に基づいて問題を解くことからなる。この研究では,算数文章題の理解過程を吟味するために,関係文を省略した難易の異なる文章題を用いて,算数の成績が上位と下位の小学6年生が生成する関係文の分析を行った。その結果,問題の難易にかかわらず,上位群の方が下位群よりもより多くの解答可能な関係文を生成した。また,下位群の生成した関係文には,与えられた質問文と整合しない関係文を生成するエラーの割合が特に多かった。この結果は,算数の成績の上位の子供は下位の子供よりも文章題の理解において問題に含まれる命題を意味的構造に即して統合することにおいて優れていることを示唆している。
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© 1990 日本教科教育学会
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