日本教科教育学会誌
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音楽学習における問題解決活動の特質
濱田 真由美
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1990 年 14 巻 4 号 p. 183-193

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抄録
一口に問題解決活動といってもそれは教科によって内容や性格を異にするものであり,各々の教科の立場から教科としての問題解決にかかわるエッセンスを明らかにする必要がある。そこで本論では,音楽科の立場から,音楽学習における問題解決活動の特質について検討を行った。まず(1)問題の設立,(2)問題追究の過程,(3)問題の解決の3点を中心に音楽学習における問題解決活動を検討した後,次のような四つの問題解決のパターンに類型化し,各々実践事例から分析した。I 学習者の中から出てきた疑問点や問題意識をもとに音楽的事実の立証や発見をおこなっていくタイプII 学習者の中から出てきた疑問点や問題意識をもとに音楽表現の向上,充実や作品の完成をめざすタイプIII 教師が提示した課題をもとに音楽的事実の立証や発見をおこなっていくタイプIV 教師が提示した課題をもとに音楽表現の向上,充実や作品の完成をめざすタイプその結果,音楽学習における問題解決としては,音楽的事実の立証,発見にみられるような,学習者があらかじめ決められた到達点にむかっていく問題解決と,演奏の向上や作品の完成にみられるような,学習者が自ら到達点を定めていく問題解決とがあった。また,特に後者が音楽科として注目すべき問題解決と考えられた。
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© 1990 日本教科教育学会
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