抄録
文部省の中学校指導書外国語編で取り扱われており、どの教科書でも比較的早い時期に提示されるいくつかの動詞の概念と、その指導法について論じた。これらの動詞はどれも多くの熟語を作り、多くの意味を持つ。そこで、生徒に対して「ここでのhaveは『持つ』、この場合は『食べる』、これは『ある』」、というように単語の意味を狭義的に示すのでは、数多くの日本語をばらばらに覚えさせようとしているに過ぎない。生徒にとって負担が大きくなるだけである。例えば、動詞HAVEの『所有する』という概念をつかませ、また、GETの『獲得する』という概念を区別して教えることが、その単語の幅広い意味や正しい使い方を取得するためには、より有益である。今回は、HAVE, GETについて、その動詞といくつかの熟語の持つ概念を動作の方向性という観点から論じた。