抄録
小学校の一般教師と校長を被験者として,15の学業不振の規定因の学業不振との関連性を調べたところ,以下の結果を見出した。(1)一般教師は,「悪い家庭環境」が最も学業不振と関連性が強いと認知し,次いで「教える内容が子供にとって多すぎること」を重視していたが,校長は,「先生の教え方のまずさ」を最も重視し,次いで「悪い家庭環境」を重視していた。(2)一般教師も校長も,共に「めぐりあわせ(運)の悪さ」は,学業不振とはあまり関係がないと捉えていた。(3)両者に認知の差が見られた要因は,「先生の教え方のまずさ」「本人と先生の間の悪い人間関係」「本人と両親の間の悪い人間関係」「両親の教育に対する無関心さ」「めぐりあわせ(運)の悪さ」(以上,校長の方が重視)「教える内容が子供にとって多すぎること」「教える内容が子供にとって難しすぎること」(以上,一般教師の方が重視)の7つであった。(4)教職経験年数や校長経験年数による認知の仕方の違いが,若干の要因で認められた。