抄録
本研究(1)では,教員免許取得希望学生を対象とした教育工学に関わる調査を行い,その分析結果から,情報収集・処理に関する地方都市の学生の実態を把握するとともに,大学や社会が解決しなければならないであろう事柄について論及した。その結果,次の結論が得られた。(1)学生の情報処理能力は,一般的に低く,さらに学生が利用している情報入手の場は限られているうえに,必要情報入手までに時間がかかりすぎるのが現状である。特に地方都市に設置されている大学では,学生の入学初期段階で密度の高い,実践的な情報処理能力育成に力を注ぐ必要がある。(2)学生は,卒業後,学校現場での指導に不安を感じている。大学は,教師になるための情報処理指導能力育成に必要なカリキュラムの整備と,その効果的学習の場の充実を急ぐ必要がある。(3)学生のパソコンを個人で所有している比率は極めて低い。社会は,学生に対する機器購入のために財政援助を計るべきである。