日本教科教育学会誌
Online ISSN : 2424-1784
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17 巻, 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 池崎 喜美恵
    原稿種別: 本文
    1994 年 17 巻 2 号 p. 53-59
    発行日: 1994/08/31
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    帰国生徒の食生活に関する手伝いの程度および食物領域における知識の理解度や,包丁の技能の習熟度について調査した。その結果,次のような知見を得た。食生活に関する役割分担では,帰国生徒および一般生徒の遂行率は大差がなく,なかでも献立つくりや調味は,約半数の生徒が実施していなかった。また,食物領域に関する栄養,献立,配膳,切り方,計量に関する知識・理解の程度については,概ね低い傾向がみられ,帰国生徒の学習経験の差が一要因と考えられた。さらに,包丁を使った技能調査では,切った枚数や切る姿勢などに,帰国生徒の持つ性格や調査に取り組む姿勢に起因する特質が表れた。したがって,海外での教育環境や生活経験を十分考慮して,個性に応じた指導をすることが必要であり,国際理解教育の一環として異なった視座から帰国子女の家庭科指導を考究していくことが望まれる。
  • 吉田 一晴, 新屋 信雄, 米盛 徳市
    原稿種別: 本文
    1994 年 17 巻 2 号 p. 61-68
    発行日: 1994/08/31
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本研究(1)では,教員免許取得希望学生を対象とした教育工学に関わる調査を行い,その分析結果から,情報収集・処理に関する地方都市の学生の実態を把握するとともに,大学や社会が解決しなければならないであろう事柄について論及した。その結果,次の結論が得られた。(1)学生の情報処理能力は,一般的に低く,さらに学生が利用している情報入手の場は限られているうえに,必要情報入手までに時間がかかりすぎるのが現状である。特に地方都市に設置されている大学では,学生の入学初期段階で密度の高い,実践的な情報処理能力育成に力を注ぐ必要がある。(2)学生は,卒業後,学校現場での指導に不安を感じている。大学は,教師になるための情報処理指導能力育成に必要なカリキュラムの整備と,その効果的学習の場の充実を急ぐ必要がある。(3)学生のパソコンを個人で所有している比率は極めて低い。社会は,学生に対する機器購入のために財政援助を計るべきである。
  • 桑畑 美沙子
    原稿種別: 本文
    1994 年 17 巻 2 号 p. 69-80
    発行日: 1994/08/31
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    近年,女性の家庭外就労が増加し社会的役割における性別分担は徐々に崩れかけている。この現象はさらに進展し,やがて,家事や育児などの家庭内の役割や責任も男女が共同で負わざるをえない時代が到来すると予想される。このような社会変化に対応する教育の方向を検討するため,次の時代を担う若者達の性別役割意識を分析することは極めて重要と考えられる。本研究では,熊本大学の学生を対象に家事・育児・老人介護などの家庭内の仕事の担当と女性の就労に関する意識を調査し,性別役割分担観の男女間の差について検した。その結果,男女差が大で,家庭内の仕事への男性の参画も女性の就労についても女子の方に賛意が強かった。この結果と男女の社会的役割の変化が顕著になっている現実から,性別役割分担に関する意識改革を早急に図る必要があると考えられる。以上の結果から学校教育の方向を考察すると,初等・中等教育における教育編成の見直しが必要と思われる。
  • 吉川 良二, 西川 純, 根本 和成
    原稿種別: 本文
    1994 年 17 巻 2 号 p. 81-86
    発行日: 1994/08/31
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    観察能力の発達過程に関して連続説と段階説の2つの仮説がある。これらの仮説の検討のために,本研究では小学生1年から6年生の児童にモミジの葉を自由に観察させ,その結果を分析した。それによると,児童の観察結果から,小学校段階では観察能力は連続的に発達することが明らかにされた。しかし,視覚の観察は小学校5年生と6年生の間では殆ど変化がみられないことも明らかにされた。
  • 羽賀 敏雄, 盛 玲子, 藤田 直美
    原稿種別: 本文
    1994 年 17 巻 2 号 p. 87-93
    発行日: 1994/08/31
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    コンピュータ言語LOGOにより,家庭科のCAI教材化を試みた。小学校家庭科の教科書に記述されている題材「小物作り」から,学習要素を抽出した。要素間の関連をISM教材構造化法によって検討した。要素は学習階層をなしており,認知,技能,情意領域からなる。CAI教材は,家庭科の重点学習目標である実践的能力・態度の育成の実現をはかることをめざして作成された。コンピュータ言語LOGOは構造的アルゴリズムをもっており,ISM法の援用により,家庭科のCAI教材化を容易にした。児童は作成したCAI教材に興味を示し,CAI学習を行った児童は行わない児童に比べて概略認知的,情意的に優れ,技能習得の先行学習としても有効であると考えられた。
  • 前田 洋一
    原稿種別: 本文
    1994 年 17 巻 2 号 p. 95-101
    発行日: 1994/08/31
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    認知スタイルのひとつである熟慮性-衝動性を調査する同画探索テスト(MFFT)を中学1年生に実施し,これと知的能力・学業成績との関係を調べたところ,以下の結果が得られた。(1)女子群は男子群よりも能率性得点が高かった。(2)知的能力を統制してMFFテストの各指標と学業成績との偏相関係数を算出した結果,有意な相関が減少した。このことより,学業成績には知能が寄与しているものと考えることができる。(3)熟慮型の生徒と衝動型の生徒との間で平均値の差の検定を行った結果,男子群では熟慮型の生徒が衝動型の生徒よりも知的能力・学業成績とも高かった。女子群では熟慮型と衝動型の生徒間で,知的能力では差は認められなかったが,学業成績では差の認められる教科が存在した。
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