帰国生徒の食生活に関する手伝いの程度および食物領域における知識の理解度や,包丁の技能の習熟度について調査した。その結果,次のような知見を得た。食生活に関する役割分担では,帰国生徒および一般生徒の遂行率は大差がなく,なかでも献立つくりや調味は,約半数の生徒が実施していなかった。また,食物領域に関する栄養,献立,配膳,切り方,計量に関する知識・理解の程度については,概ね低い傾向がみられ,帰国生徒の学習経験の差が一要因と考えられた。さらに,包丁を使った技能調査では,切った枚数や切る姿勢などに,帰国生徒の持つ性格や調査に取り組む姿勢に起因する特質が表れた。したがって,海外での教育環境や生活経験を十分考慮して,個性に応じた指導をすることが必要であり,国際理解教育の一環として異なった視座から帰国子女の家庭科指導を考究していくことが望まれる。
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