日本教科教育学会誌
Online ISSN : 2424-1784
Print ISSN : 0288-0334
ISSN-L : 0288-0334
子どもの算数文章題解決における文章理解の分析
多鹿 秀継石田 淳一岡本 ゆかり
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 17 巻 3 号 p. 125-130

詳細
抄録

算数文章題解決の理解過程を変換過程の要素と統合過程の要素の2つの下位過程の構成要素に区分するとき,この2つの下位過程の認知的構成要素のどちらが算数文章題を正確に解決する際に影響を与えるかを明らかにしようとした。被験児は小学校5年生174名であった。2つの独立変数は,実験条件(質問文に答えることによって問題を解く統制群,質問文と線分図に答えることによって問題を解く関係図群,及び質問文と線分図だけでなく関係図にも答えることによって問題を解く関係図群)と問題タイプ(易問題と難問題)であった。変換過程の要素を測定する3種の問題は,被験児に各文章題に含まれる文の内容を識別する問題であった。統合過程の要素を測る問題は,線分図問題と関係図問題の2種の問題からなっていた。各8問からなる文章題を解く前に,被験児は各条件群に対応する課題を解くように言われた。実験の結果,関係図群の被験児が最も高い得点を得た。これらの結果は,関係図を含む問題,即ち統合過程の要素を強調する問題を解いた被験児が最も高い得点を得たことを示すものであった。問題解決の構成要素によって本実験の結果を解釈した。

著者関連情報
© 1994 日本教科教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top