日本教科教育学会誌
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17 巻, 3 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 新屋 信雄, 米盛 徳市, 吉田 一晴
    原稿種別: 本文
    1994 年17 巻3 号 p. 103-110
    発行日: 1994/10/20
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本研究(2)では,現場教師に対して,コンピュータに関する調査と実際にコンピュータの指導を通して,その実態と課題について論究した。その結果は,次の諸点にまとめることができる。(1)ハードウェアとソフトウェアの量的な面は概ね整備されている。(2)利便性,容易性の高い良質のソフトウェアの充足が望まれる。(3)現場教師のコンピュータの経験年数(平均,1.9年)は,まだ初期の段階である。(4)現場教師の積極的な参加が得られる講習会・研修会を多く開催する必要がある。(5)コンピュータ利用の効果として,学校業務の効率的処理や児童・生徒の教育・指導に有効であることを確認した。(6)個人的にコンピュータを購入し,学校業務に利用している教師が多く,経済的負担を余儀なくされている。したがって,国や地方自治体は,財政援助を講じるとともに,コンピュータの適正配置を行う必要がある。
  • 千駄 忠至
    原稿種別: 本文
    1994 年17 巻3 号 p. 111-118
    発行日: 1994/10/20
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本研究は,体育科の授業における「やる気」の構造を明らかにするため,54項目で構成した質問紙を用い,小学生2145名を対象にして調査が行われた。低・中・高学年の「やる気」の中核的な因子とその構造が因子分析とパス解析によって明らかにされ,次のようなことがらが指摘された。1)「やる気」の因子は22因子が抽出され,そのうち本研究によって「好機」「主体性」「向上」「新奇さ」「励まし」「承認」「賞賛」「環境」「発見」「効果」「貢献」の11種類の因子が新たに抽出された。2)各学年の「やる気」の中核的な因子は,低学年では「好機」,中学年では「協同」,高学年では「達成」であることが認められた。3)各学年の中核的な因子と関連する因子には次のような因子が認められた。低学年では,「好機」と「賞賛」と「励まし」が一群を形成し,これらの因子は「教授活動要因群」と命名された。中学年では,「協同」と「新奇さ」が一群を形成し,これらの因子は「人間関係的要因群」と命名された。高学年では,「達成」と「見通し」が一群を形成し,これらの因子は「自主的学習活動要因群と命名された。
  • 山下 智恵子
    原稿種別: 本文
    1994 年17 巻3 号 p. 119-124
    発行日: 1994/10/20
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本稿は,一般市民の家庭科観の実態を把握し,その形成に関わる要因を分析することを目的にしたものである。方法として,香川県高松市が1991年10月に実施した調査のサンプルを用いて,男子ならびに女子を対象にした家庭科履修に関する意識の実態と子どもの教育目標における家庭科の位置を調べた。その結果,一般市民は,男子の家庭科履修について約半数が,女子のそれについて約7割が肯定していた。養育態度や教育目標に関わる13項目の回答を因子分析し各項目の挙動から,男子について5つの因子が,女子について4つの因子が抽出された。男子の場合には,「家庭科履修」と「家の手伝い」とは第5の因子を構成したが,女子の場合には,「家庭科履修」は「人間としての自立」,「豊かでたくましい人間性」,「職業生活」に資すること,および「家の手伝い」とならんで第1因子を構成した。以上から,一般市民の家庭科教育観には,家庭科は女子のための主婦準備教育ととらえる意識がまだ根強くあることが推察された。
  • 多鹿 秀継, 石田 淳一, 岡本 ゆかり
    原稿種別: 本文
    1994 年17 巻3 号 p. 125-130
    発行日: 1994/10/20
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    算数文章題解決の理解過程を変換過程の要素と統合過程の要素の2つの下位過程の構成要素に区分するとき,この2つの下位過程の認知的構成要素のどちらが算数文章題を正確に解決する際に影響を与えるかを明らかにしようとした。被験児は小学校5年生174名であった。2つの独立変数は,実験条件(質問文に答えることによって問題を解く統制群,質問文と線分図に答えることによって問題を解く関係図群,及び質問文と線分図だけでなく関係図にも答えることによって問題を解く関係図群)と問題タイプ(易問題と難問題)であった。変換過程の要素を測定する3種の問題は,被験児に各文章題に含まれる文の内容を識別する問題であった。統合過程の要素を測る問題は,線分図問題と関係図問題の2種の問題からなっていた。各8問からなる文章題を解く前に,被験児は各条件群に対応する課題を解くように言われた。実験の結果,関係図群の被験児が最も高い得点を得た。これらの結果は,関係図を含む問題,即ち統合過程の要素を強調する問題を解いた被験児が最も高い得点を得たことを示すものであった。問題解決の構成要素によって本実験の結果を解釈した。
  • 鈴木 洋子
    原稿種別: 本文
    1994 年17 巻3 号 p. 131-136
    発行日: 1994/10/20
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    生活科の教科書のなかには,栽培した野菜を利用した調理場面を掲載したものがある。体験を重視する生活科で行われる調理と,基礎的な調理技能の習得や,食品の調理性などを学習する家庭科の調理を同じ線上に置くことはできないが,多くの学校で低学年を対象とする調理が実施されるのであるなら,家庭科との関連をはかるためにも,その指導内容を明確にする必要がある。本研究では,低学年からの調理指導の可能性を検討するために,生活科の教科書分析ならびに,生活科における調理指導に対する小学校第2学年担当教師の意識と実態調査を行った。その結果,12社中5社の教科書が,栽培したミニトマトを使った調理場面を掲載していたが,衛生面に対する配慮不足がみられた。意識と実態調査からは,低学年の調理指導に対する教師らの積極的な姿勢がうかがえた。包丁使用に対する教師らの意識は,実際の使用度より上回っていたが,指導の可能性には,低学年に適した調理設備の不備や,1学級あたりの児童数の多さが影響しており,低学年で調理を行うには,これらを改善する必要がある。
  • 松下 清子
    原稿種別: 本文
    1994 年17 巻3 号 p. 137-142
    発行日: 1994/10/20
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    体育科教育としてのダンスは,古代ギリシャの時代から行なわれており,宗教的な肉体軽視の長い時代を経て,近世早々にはイギリスのトマス・エリオット卿は教育手段としての舞踊の価値論を繰り返し述べていた。また,スウェーデンでは体育教師による体育教材としてのフォークダンスが早くから行なわれていた。わが国における体育教科としてのダンスは,社会変動の波を被りながらもその価値はやはり消えることなく,最新学習指導要領においても創作ダンスとフォークダンスが取り上げられている。これらの学習内容について,実践を踏まえ,他の運動種目との比較からダンスの特性を述べ,さらに創作ダンスとフォークダンスの学習活動の違いや学習内容の違いに関連して,他教科との関連の大切さと,グループへの協調や一斉学習における個人の責任など人格形成の上で教育的効果が大きいことを述べた。
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