生活科の教科書のなかには,栽培した野菜を利用した調理場面を掲載したものがある。体験を重視する生活科で行われる調理と,基礎的な調理技能の習得や,食品の調理性などを学習する家庭科の調理を同じ線上に置くことはできないが,多くの学校で低学年を対象とする調理が実施されるのであるなら,家庭科との関連をはかるためにも,その指導内容を明確にする必要がある。本研究では,低学年からの調理指導の可能性を検討するために,生活科の教科書分析ならびに,生活科における調理指導に対する小学校第2学年担当教師の意識と実態調査を行った。その結果,12社中5社の教科書が,栽培したミニトマトを使った調理場面を掲載していたが,衛生面に対する配慮不足がみられた。意識と実態調査からは,低学年の調理指導に対する教師らの積極的な姿勢がうかがえた。包丁使用に対する教師らの意識は,実際の使用度より上回っていたが,指導の可能性には,低学年に適した調理設備の不備や,1学級あたりの児童数の多さが影響しており,低学年で調理を行うには,これらを改善する必要がある。
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