1996 年 19 巻 1 号 p. 49-55
小学校理科での電磁気学習を取り上げ,学習者の経験・情意・態度の現状を探るとともに,両者が彼らの概念構成の達成度に与える影響を相関係数を用いて明示することを試みた。各学年次の理科学習の終了段階で4学年の児童1544人を対象に質問紙調査を実施して量的分析を行った結果,次の実態が明らかとなった。:(1)必要な電磁気学習は経験しているが,日常器具の働き・仕組みの理解には至っていない。経験の程度は概念達成度との間で有意な相関を持つ。(2)学習者の興味・関心は高いが,学習当初から困難を抱く。授業態度は概して消極的で,特に表現活動でその傾向が強い。概念達成度との有意な相関が,肯定的情意の程度では認められるが,積極的授業態度の程度では認められない。