日本教科教育学会誌
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19 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 入江 和夫
    原稿種別: 本文
    1996 年19 巻1 号 p. 1-6
    発行日: 1996/06/30
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    今日,合成高分子化合物は日常生活で欠くことのできない物質となっている。そして,それは便利であるが,いずれごみとなって廃棄処理しなければならない。合成高分子化合物の用語であるビニルやプラスチックについて我々は詳しく学ぶことは少ないが,これら用語は慣用的にひんぱんに使用されている。学校教育で学習する用語は普遍的であり,かつ実生活においても通用することが望ましいことから,ここではビニルとプラスチックの用語に関して高校化学教科書や辞書の意味を基準にして,小・中・高学校教科書を調査対象にして分析した。その結果,対象の教科書におけるビニルとは柔らかい合成高分子化合物を,プラスチックとは硬い合成高分子化合物を示唆し,本来の意味から解釈できない用例であった。ここでは,教科書においてビニルとして使われている用語をプラスチックに統一し,この用語の本来の意味を小学校低学年から学習させることを提言した。
  • 山本 紀久子
    原稿種別: 本文
    1996 年19 巻1 号 p. 7-11
    発行日: 1996/06/30
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は,パン作り実習におけるパン生地の発酵方法の問題点を取り上げたうえで,個による学習体験を取り入れた抱き温め法によるパン生地の発酵方法を考え,小学校第3学年の授業実践を通して,その有効性について評価するものである。その結果,次のようなことが明かとなった。1 児童によるパン生地の発酵方法は全員が時間内に2倍くらいに発酵することができた。2 児童による授業と教材への評価は好意的なものが多かった。3 教師側・児童側の用具の準備・後片づけを必要とせず,また寒冷期の実習も可能であった。以上のことから,パン生地の第一次発酵を児童による抱き温め法によって実施することで,時間経過により温かくなっていく様子が直接体験できたことから,児童に分かりやすく,授業実践する時に有用である。
  • 津田 和也, 後藤 幸弘
    原稿種別: 本文
    1996 年19 巻1 号 p. 13-21
    発行日: 1996/06/30
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    中学生女子初心者を対象に,バレーボールの学習指導において,「課題ゲーム」を中核に守備と攻撃を中心にした学習過程を編成し,21時間の授業を行い,個人技能,ゲーム様相,特性認知調査,ならびに態度測定等で評価した学習成果を比較・検討した。パス技能,ゲーム様相等の向上傾向には両過程間に差はみられたが,最終的な成果には相違は認められなかった。しかし,守備中心の学習過程の方が,チームがまとまりやすく,人間関係を向上させ,バレーボールを好きにさせるとともに,授業に対する愛好的態度を高め得ることが認められた。すなわち,女子初心者では,「守備」を中心に学習過程を編成する方が適していると考えられた。なお,これには,学習過程編成の観点の相違に加え,女子の「課題志向性」よりも「人間志向性」に価値があるとする性格特性の影響が推察された。
  • 大道 正樹, 松浦 正史
    原稿種別: 本文
    1996 年19 巻1 号 p. 23-32
    発行日: 1996/06/30
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本研究は,中学校技術科で取り扱われる「のこぎり引き」場面を,認知科学的なアプローチにより,「技能の図式」というスキーマ形成の観点から調査した。その結果,技能の習得過程において生徒の型をバランス型,認知型,及びパフォーマンス型の3つのタイプに類別することができた。さらに,認知型,パフォーマンス型のそれぞれの生徒にタイプ別の指導をおこなった。それらの遂行で生じた,対象作品の評価と遂行時の行動分析,および生徒の内観を分析した結果,各タイプに特徴が認められ,生徒の学習状況の把握,及び指導に有用な示唆を得た。
  • 福田 隆真
    原稿種別: 本文
    1996 年19 巻1 号 p. 33-38
    発行日: 1996/06/30
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    教育の国際化が学校教育においても重要視されてきた今日,教科教育の内容としても国際理解や異文化理解に関する教材を考慮する必要がある。本稿では国際理解教育の内容を異文化理解に設定し,多民族国家として異文化理解を促しているシンガポール共和国の美術科教育の教科書を調査・分析することによって,教科教育としての美術科の異文化理解のための役割を,わが国の状況と比較しながら考察した。
  • 下條 隆嗣, 平田 昭雄, 福地 昭輝
    原稿種別: 本文
    1996 年19 巻1 号 p. 39-47
    発行日: 1996/06/30
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    大学における小学校教師養成カリキュラムの改革,特にピーク制の是非を検討するために,小学校教師に,各教科等の指導上の困難さとその理由を自己評価によってアンケート調査した。教科等としては,教師養成の視点から,「国語」「社会」「算数」「理科」「音楽」「図画工作」「体育」「家庭」「生活」「書写」「道徳」「クラブ活動」「学級活動」「生活指導」「学校行事」「学級経営」「その他」とした。寄せられた583通の回答を,4年制大学理系,4年制大学文系,短大等の出身別に分けて分析した。教師は「音楽」指導に最も困難を感じていること,「理科」は文系と理系で指導の困難さの差が大きいこと,教科等には,指導上からみた特性があること,全教科等を通じて教師が困難と感ずる主な理由としては,指導方法や指導内容についての知識が不十分であり,また活動や教科等の設定が難しいと考えていることなどが明かにされた。
  • 平野 俊英
    原稿種別: 本文
    1996 年19 巻1 号 p. 49-55
    発行日: 1996/06/30
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    小学校理科での電磁気学習を取り上げ,学習者の経験・情意・態度の現状を探るとともに,両者が彼らの概念構成の達成度に与える影響を相関係数を用いて明示することを試みた。各学年次の理科学習の終了段階で4学年の児童1544人を対象に質問紙調査を実施して量的分析を行った結果,次の実態が明らかとなった。:(1)必要な電磁気学習は経験しているが,日常器具の働き・仕組みの理解には至っていない。経験の程度は概念達成度との間で有意な相関を持つ。(2)学習者の興味・関心は高いが,学習当初から困難を抱く。授業態度は概して消極的で,特に表現活動でその傾向が強い。概念達成度との有意な相関が,肯定的情意の程度では認められるが,積極的授業態度の程度では認められない。
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