抄録
平成6年度からの高校家庭科の男女共学化に伴い,家庭科教育は小・中・高校とも性別にとらわれない教科として,家庭生活の質的向上と共生を目標とした教育に向かって歩み出した。中でも食物領域の教育内容は児童・生徒の最も興味関心の高い領域で,身近な領域となっているため,児童・生徒に効果的,着実かつ的確な教育内容を定着させる事が望ましく,そのためには如何なる視点が必要であるのかを明確にしなければならない。そこで男女共学の教育内容の定着しているアメリカの教科書を検討して,日本の教科書と比較した。日本とアメリカの教科書の特徴が明らかとなったため,家庭科の教師は日本の教科書の特徴を的確に把握して理解する必要がある。そして不十分な内容を補足しつつ,児童・生徒の発達段階ごとに必要な意義の深い内容を,広い視野に立って指導しなければならないことが結論づけられた。