日本教科教育学会誌
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国際理解教育と家庭科 : 高等学校家庭科教科書の分析から
池崎 喜美恵
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1997 年 20 巻 2 号 p. 31-38

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抄録
高等学校家庭科教科書を分析対象として,国際理解教育に関する記述内容について検討し,家庭科教育における国際理解教育について提言した。1.『高等学校学習指導要領家庭編』では,国際化社会の変化に対応する家庭科の教科観は明確には記述されていない。しかし,家族,経済面,食糧事情,住まい方などに世界へ目を向けるよう配慮されている。2.高等学校家庭科の教科書では,「国際」「世界」「地球」などのキーワードや国名が多く掲載されている教科書もあるが,概して質的にも量的にも国際化に対する記述は不足している。3.世界の衣・食・住生活に関する学習は,児童・生徒にとって各国の生活史や生活文化について理解を深め,自国の生活文化の見直しにもつながる。外国との関わりに関心をもたせたり,グローバルな視座にたって指導していくことは,今後の家庭科教育の方向性を示すことになる。4.新鮮な外国の事情や生活の有り様などの情報を与えてくれるのが帰国子女であり,帰国子女が体得した国際性を生かしていく努力と特性の活用こそが,家庭科教育における国際理解教育の端緒といえる。
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© 1997 日本教科教育学会
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