抄録
実践的・総合的な教科とされる家庭科における住環境学習について,高等学校段階における授業の総合的な展開の可能性を探っていくことを目的とする。まず文献資料研究により学習理念の見直しを行い,授業計画を作成し,授業の実践とその検討を行った。授業計画にあたって,理念および実践方法に関連して,住環境学習の先進的事例を持つ英国の実践から示唆を得,文献を参照した。実践の結果,高等学校家庭科の住環境学習として,体験を重視した参加型の学習方法を採り入れ,住環境を評価する能力の育成をめざした多様な学習方法の採用により,生徒の認識に広がりが確認され,住環境に対する主体性の形成につながる学びとなることが確認できた。今後の課題としては実社会との接点を拡大していくことがあげられ,実践を通したさらなる研究が求められる。