日本教科教育学会誌
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住環境づくりへの主体的意識を育てる高校家庭科の授業開発 : (第2報)授業の分析と評価
吉川 智子荒井 紀子
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2000 年 22 巻 4 号 p. 55-63

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抄録

高等学校「家庭一般」住居領域の学習において,生徒の住環境に対する関心を高め,快適な住環境をつくろうとする意欲や実践力を育てることを目的とし授業開発を行なった。前報では,授業の全体構造と学習プロセスについて報告した。本報では,授業を生徒がどう受けとめたかに視点をあて,授業前後の生徒の記述やアンケートをもとに,授業の分析と評価について報告する。結果は以下のようであった。1.授業後のアンケートでは,生徒の97%が,学習に興味・関心を持てたと回答した。また自由感想文では,学習への手ごたえや,学習を通しての自己の内面の変化を示す記述が多くみられた。2.生徒が最も熱心に取り組んだのは,教室の設計と,駅,公園,ショッピングセンターなどの公共施設の設計・模型づくりであった。3.「住環境づくり」に関する授業前後の生徒の記述では, ノーマライゼーションへの理解や住環境づくりへの主体的意識の増加がみられた。また,住居領域の学習内容,方法についての関心はいずれの項目も増加し,特にグループ調査・討論,公共施設の設計・模型づくりへの関心の増加がみられた。以上から,本授業の題材と学習内容,方法は生徒に肯定的に受けとめられ,学習目標に対する一定程度の効果が確認された。

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