抄録
本研究は,香川県における初期家庭科の実証的分析を通して,わが国における家庭科の具体的成立を明らかにすることを目的としている。本報告で研究対象としたコア・カリキュラムを理念とする『善通寺中央プラン』では,家庭科は主に『中心学習』を充実させる『基礎学習』の「技術をねる分野」に位置づけられていたが,実際には「中心学習には直接関係しない学習」として単元で展開され,その内容も家庭生活に必要な技能に限定されていた。また,『中心学習』にも衣・食・住生活に必要な知識や家族関係,家庭経営などの家庭科の内容が見られたが,それはカリキュラムの核となった当時の社会科が超広領域教科であったために,偶然家庭科の内容が含まれただけであると捉えられた。