抄録
健康に関する「認識」と「行動」の一体化,すなわち「理解」と「実践」につながる保健授業を開発することを目的とした。認識することによって実践される授業内容を設定するため,健康行動についての「認識」を深め,健康行動の価値を知り,健康への影響の捉え方をメカニズムを通して理解させる授業内容を作成するとともに,体験を含む授業を行い,授業前後の健康行動に対する「認識度」ならびに実践状態の変化について検討した。その結果,実験クラスの児童は授業内容をより一層自分自身のこととして捉え,健康に関する「認識度」を向上させるとともに学校生活における「けが」の発生件数を激減させていた。このことは実験クラスの児童が健康に関する認識をより深めるとともに,健康行動の実践を行なっていることを示し,仮説授業は児童に対して,「わかる」と「できる」を統一させ得る授業であることが認められた。