抄録
本研究では,高等学校の遺伝の導入において分離の法則の教授に不完全優性の形質を用いることで,分離の法則に関する学習者の理解が向上し,また学習者が仮定した遺伝子に基づいて遺伝現象を考えることができるようになると考え,その効果を検証することを目的とした。このため,今回導入する方法で教授する実験群(高等学校1年生24名)と従来の方法で教授する対照群(高等学校2年生38名)を設定し,授業実践を行った。質問紙を用いてそれぞれの教授方法による効果を比較した結果,分離の法則に関する理解の上昇が見られると共に,実験群では形質の優劣関係を仮定した遺伝子に基づいて判断する学習者が多く見られた。