日本教科教育学会誌
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27 巻, 3 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 佐藤 真, 勝見 健史
    原稿種別: 本文
    2004 年27 巻3 号 p. 1-10
    発行日: 2004/12/30
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    小学校低学年の生活科における自己評価は,教師の指示に準じた非主体的な評価活動にとどまり,児童が主体的に自らの学習状況を把握・修正するためには十分機能していないことが課題である。本研究は,ポートフォリオ評価法における「操作的活動」を導入することにより,児童の自覚的な自己評価活動を促進させることを目的とし,次のような結果を得た。(1)「操作的活動」の導入は,小学校低学年児童の自覚的な学習状況の把握と改善を促進する。(2)「操作的活動」の中で,「回想」「分類」「選択」の活動が,特に児童の曖昧な自己評価を回避し,主体的な自己評価を促進する。(3)「操作的活動」の中で,「配列」「比較」「照合」「特徴づけ」は,教師からの一定の「関与」を不可欠とし,そこでは児童の主体性の欠落という課題について検討する必要がある。(4)「操作的活動」には,主体的な自己評価が機能化するために適した学習段階が存在する。(5)「操作的活動」の経験は,その方法と意義の具体的な意識化によって,児童が自覚的に他場面でもそれを援用し自己評価を機能させることができる。
  • 山下 智恵子, 中村 真由美, 君嶋 紀子
    原稿種別: 本文
    2004 年27 巻3 号 p. 11-19
    発行日: 2004/12/30
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本論文の目的は,1994年からの高等学校における家庭科の男女必修が男子大学生の食生活に与えた影響について明らかにしようとしたものである。研究の方法として,1996年調査(対象:高等学校で家庭科を履修しなかった男子大学生)と,2002年調査(対象:高等学校で家庭科を履修した男子大学生)における食品摂取得点などを比較した。その結果,2002年調査における男子大学生の食品摂取得点が,1996年調査におけるそれよりも低かったことから,高等学校で家庭科を履修した効果は認められなかった。それは,この6年間に家庭科学習の効果を覆い隠してしまうほど彼らを取り巻く食環境が変化したためであると考える。なぜなら,2002年調査における自宅生の食品摂取得点が1996年のそれより著しく低くなっていたことから,家庭における食事の質が低下したことによると思われる。
  • 向 平和
    原稿種別: 本文
    2004 年27 巻3 号 p. 21-28
    発行日: 2004/12/30
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本研究では,高等学校の遺伝の導入において分離の法則の教授に不完全優性の形質を用いることで,分離の法則に関する学習者の理解が向上し,また学習者が仮定した遺伝子に基づいて遺伝現象を考えることができるようになると考え,その効果を検証することを目的とした。このため,今回導入する方法で教授する実験群(高等学校1年生24名)と従来の方法で教授する対照群(高等学校2年生38名)を設定し,授業実践を行った。質問紙を用いてそれぞれの教授方法による効果を比較した結果,分離の法則に関する理解の上昇が見られると共に,実験群では形質の優劣関係を仮定した遺伝子に基づいて判断する学習者が多く見られた。
  • 三崎 隆, 西川 純
    原稿種別: 本文
    2004 年27 巻3 号 p. 29-35
    発行日: 2004/12/30
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本研究では,実験時のグループを社会的に再構成したときに生徒が起こす役割の変化と,場独立型-場依存型の認知型との関係を調査した。まず,生徒の場独立型-場依存型の認知型のタイプと,理科授業の実験時における生徒の役割を把握した。次に,同じ役割の生徒同士のグループを構成して,実験させて,生徒の役割の変化を観察した。そして,場独立型の生徒と場依存型の生徒ごとに,役割が変化したか否かを比較した。その結果,場独立型の認知型のタイプの生徒と場依存型の認知型のタイプの生徒では,役割が変化した生徒と変化しなかった生徒の割合に違いが認められた。場依存型の認知型のタイプの生徒の方が役割の変化しなかった生徒の割合が高いことが明らかになった。
  • 藤原 志帆
    原稿種別: 本文
    2004 年27 巻3 号 p. 37-46
    発行日: 2004/12/30
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本稿では,知的障害養護学校(小学部および中学部)音楽科教科書指導書(S40・S60・H7)および同解説(H14)に掲載されている題材に付された指導目標を分析することによって,知的障害養護学校音楽科において,音楽による発達支援という視点がどのように導入され,どのような役割を果たしてきたのか,その変遷について考察した。その結果,知的障害養護学校音楽科において音楽による発達支援という視点は,1)在籍児童・生徒の障害が著しく重度化した養護学校義務制実施以降,障害枠|生や発達段階に即して子どもの全面発達を促すために積極的に導入されるようになり,その後も重視されている,2)身体表現領域や器楽領域を中心として導入され,知的障害児の障害の状態等に即した,知的障害養護学校音楽科独自の指導方法の開拓を推進してきた,ということが明らかになった。
  • 和泉 安希子
    原稿種別: 本文
    2004 年27 巻3 号 p. 47-55
    発行日: 2004/12/30
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,学校教育における『健康教育』の方向性を探ることにある。その基礎研究として,今回は女子大学生の肥痩意識と痩身行動に関する調査・分析を行った。その結果,(1)「痩身願望」が強く,自身の体型認識も,標準体型でありながら「太っている」という誤った認識がされていた。(2)「体型が気になり始めた年齢」が「第二次性徴」の出現時期とほぼ一致しており,性徴による体型の変化を「太った」と誤解し,「痩せたい」と思うようになるのではないかと推察された。この時期に学校教育において教科の枠を越え,「性徴」に関する知識を深め,自身の体型変化を的確に受け止める力を養うことが重要だと考えられた。(3)初めて痩身行動を行った年齢は,高校生時代が多く,また,欠食や絶食によるダイエットを行っており健康への影響が懸念された。栄養・運動・休養と睡眠のバランスの取れた生活へ向けて幅広い分野から指導する必要があることがわかった。
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