小学校低学年の生活科における自己評価は,教師の指示に準じた非主体的な評価活動にとどまり,児童が主体的に自らの学習状況を把握・修正するためには十分機能していないことが課題である。本研究は,ポートフォリオ評価法における「操作的活動」を導入することにより,児童の自覚的な自己評価活動を促進させることを目的とし,次のような結果を得た。(1)「操作的活動」の導入は,小学校低学年児童の自覚的な学習状況の把握と改善を促進する。(2)「操作的活動」の中で,「回想」「分類」「選択」の活動が,特に児童の曖昧な自己評価を回避し,主体的な自己評価を促進する。(3)「操作的活動」の中で,「配列」「比較」「照合」「特徴づけ」は,教師からの一定の「関与」を不可欠とし,そこでは児童の主体性の欠落という課題について検討する必要がある。(4)「操作的活動」には,主体的な自己評価が機能化するために適した学習段階が存在する。(5)「操作的活動」の経験は,その方法と意義の具体的な意識化によって,児童が自覚的に他場面でもそれを援用し自己評価を機能させることができる。
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