抄録
本研究の目的は,中学校技術科の金属加工学習において,技能的な課題遂行時に生起する生徒の内省を構造的に解明することである。「技能的課題遂行時の内省尺度」を用いて,中学生893名を対象に調査を実施した。因子分析の結果,F1「課題解決に対する内省」因子, F2「つまずきに対する内省」因子,F3「課題達成に向けた内省」因子の3因子が抽出された。また,クラスタ分析の結果, F1には「フィードバックによる解決行動」と「フィードフォワードによる解決行動」,F2には「失敗・不安」と「状況・不安」, F3には「課題達成意欲」と「自己コントロール」と解釈されるクラスクがそれぞれ認められた。これらの構造から,技能習得過程の初期段階にある生徒は,失敗やつまずきに対する不安を抱きつつ,課題遂行状況のモニタリングを通して達成に向けた動機づけを図り,具体的な解決行動を展開している様相が示唆された。