抄録
本研究の目的は,「総合的な学習の時間」において,メタ認知を促すと想定する方略が,メタ認知的知識の向上に効果的かどうかを検討することであった。まず,メタ認知的知識測定質問紙を作成し,本研究の処遇となるメタ認知を促す振り返り活動を設定した。次に,小学5年生を対象に実践授業を行い,その前後に行ったメタ認知的知識測定質問紙調査の結果から,以下の3点が示唆された。(1)メタ認知を促す振り返り活動は,メタ認知的知識の向上に効果的である。(2)メタ認知的知識の因子次元の検討から,「設定・点検」の因子には有効だが,その他の因子にはほとんど関与しない。(3)同処遇は,低メタ認知群の児童より,高メタ認知群の児童に有効である可能性が高い。これらの結果から,処遇は,メタ認知的知識の向上に効果的であるが,メタ認知的知識の因子次元やメタ認知の能力によって効果に差異があることが明らかとなった。