抄録
中学校における英語の授業では,実践的コミュニケーション能力を育成するための基礎として,リスニング指導の重要性がますます高まっている。 しかしながら,学習者がリスニング活動中にどのような行動を選択し,取り組んでいるのかについての情報が少ないという現実がある。本研究では,公立中学校の3年生(91名)をリスニングテストの結果により上位・中位・下位の3群に分類し,リスニング活動中におけるストラテジー使用の実態をアンケートにより調査した。分散分析の結果,聞き取りに成功している学習者とそうではない学習者のストラテジー使用にいくつかの違いが見られた。聞き取りに成功している学習者ほど,プランニングとモニタリングに代表されるメタ認知ストラテジーを頻繁に使用し,なおかつ,タスクの種類や状況に応じて効果的に認知ストラテジーを選択しながらリスニング活動に臨んでいる実態が明らかになった。