抄録
本研究は,「ものづくり学習」を行う学習者の思考を分析・把握した結果から得られた枠組みに基づいて,工具や機器を用いる製作活動の前段階に適用可能な学習指導モデルを提案することを試みたものである。既報で得られた学習者の製作活動に対する思考の因果モデルと,技術科教育の学習指導に関する先行研究の知見に基づいて,「目的の意識化」「内容の明確化」「試行・練習」「内容の詳細化」及び「製作の具体化準備」の順に構成される学習指導モデルを提案した。さらに,学習指導モデルを各製作段階における主要な学習指導内容の順序・配列化に資することを意図して,鉄工やすりを用いた「切削」の場面における具体的な指導過程について検討を行った。この学習指導モデルは,先行研究で示された授業構成法の枠組みに則ったものになっているため,技術科教育に適したモデルとして考えることができる。