抄録
本研究の目的は,中国の「総合実践活動」における公民教育の特質を探ることにある。そのため,まず,小学校段階の「総合実践活動」を取り上げ,その全体像を明らかにした。次に,広東省の小学校で行われた実践例を対象として分析を行った。その結果,「総合実践活動」は教科を超える幅広い領域の中で,地域や社会を担う公民に求められる探究やコミュニケーション能力,社会参加や行動能力といった実践能力の育成を目指していることが明らかになった。また,そのような能力を育成するために,自然問題,社会的論争問題など現代社会の今日的な課題や問題の理解とその解決を重視し,地域社会の中で公民としてどのように行動し,参加していけばよいのかを考えるような実践的な社会参加学習方法を取り入れようとしていることが明らかになった。