日本教科教育学会誌
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昭和30年代の鹿児島県における共通語指導 : 『ことばのほん』を中心に
原田 大樹
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2010 年 33 巻 1 号 p. 31-40

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抄録
本稿は,昭和30年代に行われた共通語指導を明らかにする研究の一環として,鹿児島県で作成・使用された教材『ことばのほん』について,その内容・特徴・及び意義について明らかにすることを目的としている。『ことばのほん』は,鹿児島県国語教育研究会・鹿児島県教育委員会の共編で,それまでの標準語・共通語指導において,確固とした教材がなかったことや,教師の経験不足等による共通語指導の不振に対応するために作成された。そのねらいは,児童が共通語を自由に使用できることにあり,児童の日常生活や経験に基づく指導を行おうとしている。そのため本書の内容は,「ことば」の矯正に加え,アクセント・イントネーション等の音調に関する事項が多く含まれている。さらに,その使用方法については,特設の時間で,実践的活動によって,また,音声機器も併用して指導するように示され,音読,劇化などによって指導している。この結果,本書は,児童が共通語を体系的・経験的に学べるテキストであるという点に特徴と意義が見いだせる。
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© 2010 日本教科教育学会
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