日本教科教育学会誌
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中日両国の児童の環境意識や行動に関する研究
張 翀池崎 喜美惠
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2011 年 34 巻 2 号 p. 21-30

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抄録
持続的発展が可能な社会を構築するため,21世紀を担う子どもたちへの環境教育は極めて重要である。経済的発展が著しい中国では,児童の環境意識や行動の態様には,どのような特徴があるのだろうか。本研究は,中国桂林市と日本東京都の小学生を対象に,環境問題への関心や環境保護への取組みなどを調査し,比較分析を行った。家事などの手伝い状況が子どもの環境意識と行動に関係していると仮定し考察した結果,中国の小学生が日本の小学生よりよく手伝いをしており,手伝いをよくする子どものほうが環境問題への関心や家庭における環境問題に関する会話頻度が高いことが明らかとなった。また,両国の小学生とも,環境問題への関心が高く,自分の日常生活行動が地球環境に影響を与えていることを認識しており,積極的に環境保護に関する活動に参加していることがわかった。しかし,中国の小学生は環境への関心や環境意識が高いものの,環境問題に関する認知度が日本の小学生より低く,環境問題に関する知識の習得の手段が少ないという実態が顕著に示された。
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© 2011 日本教科教育学会
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