2013 年 36 巻 1 号 p. 21-31
今次の学習指導要領の新規事項となった,小学校家庭科ガイダンスの授業に活用できるデジタル絵本教材を開発し,実践を通して有効性を検証した。ガイダンスの授業では「2学年間の学習内容を知る」ことが目標の1つになる。教材はイメージを伝達することに効果的とする絵本をデジタル化し,具体的な学習内容を動画や静止画で提示するリンクを貼りつけた構造とした。試作教材を評価修正した本教材を小学校32校で活用してもらい,教員用調査と児童用調査から考察した。教員は「説明がしやすい」「操作がしやすい」など教材の使用感について9割以上が肯定的回答をし,概ね使いやすい教材であることが示唆された。児童は家庭科の学習に興味・関心を高めると共に,「食」と「衣」に偏る傾向があった家庭科の学習イメージを広げることができたなど,学習内容の理解を促す教材として有効であることが示された。