本研究は,小学校道徳で開発・実践した「自分と家族について考える死に関する学習プログラム」を,中学校家庭科(技術・家庭科の家庭分野を中学校家庭科と記す)の「「A 家族・家庭と子どもの成長」において,2年生142名を対象に授業実践し,学習プログラムと学習教材との学習効果を検証した。検証は,1.生徒の学習後における振り返り文の分析 2.学習前後のアンケートによる学習プログラムの学習効果の分析 3.家庭科担当者の省察 から考察した。授業の振り返りで140名中67名が「家族や命を大切にしたい」と記述している。次に,アンケート分析の結果,学習前後で「人の死」「家族の死」「自分の死」に有意差が見られ,残差分析を見ると学習後に死を意識した生徒が増えたことが認められた。授業者の省察は,中学校家庭科で死に関する授業をすることは生徒が家族の死を受け止め,家族や命の大切さに気付くとともに,自分の死について考える良い教材であるという評価である。中学校家庭科で死に関する学習プログラムと学習教材について一定の学習効果が認められたと言える。