2013 年 36 巻 3 号 p. 37-47
本研究では,英語教員の海外長期研修者がどのような研修を受けてきたのか,その経験と知識をいかに活用・還元してきたか,また,成果還元の妨げになっていたのは何かを明らかにし,今後の研修成果の還元のための示唆を得ることを目的とする。質問紙を用いて36名の海外長期研修者(6カ月)から集めたデータを主に量的・質的研究法(構造構成的研究(西條,2007))で分析した。その結果,研修内容には概ね満足しているものの,研修で得た知識や経験が自己変容や他の英語教員のために十分に活用・還元できていないことが分かってきた。活用・還元を妨げていたのは,「成果と現場とのギャップ」「研修への理解者不足」「還元機会の欠如」であった。今後の研修については「帰国後サポート体制」「英語教員への還元」「事前の目標設定」が研修成果を広げていくために必要であることも明らかになった。