抄録
女子の理科学習の促進のために,諸外国では「教師教育」が重視されている。日本でも女子の理科離れの克服は喫緊の課題であり,教師教育や教員養成の観点からの検討が求められる。本研究では,まず,教員志望の学生の理科に対する意識および理科学習におけるジェンダー関連の意識の男女差を明らかにした。そして,理科学習における男女差の実態とその要因を学生が理解し,女子の理科学習促進の必要性を認識することを目指し,教員養成課程において「理科学習と男女差」の授業を考案し,実践した。この授業によって,学生の性別によらず,理科学習の男女差に関する学生の理解は,概ね促進された。しかし,女子の理科学習促進のために,将来の自らの理科指導に留意する必要性への認識が十分ではない学生も見られた。