抄録
学校概念として学力をとらえなおし,措定しようとする上で,重要なふたつの契機が存在するといえる。ひとつは,科学・芸術の構造にてらして教育内容を組織化するというものであり,またひとつは,子供がその内容を習得していく過程を明らかにしていく,というものである。そして,このふたつは,実際の指導プログラミングに統合されていくものと考えられる。本稿では,そのうち後者に焦点をおいて実際の指導プログラムを分析することにした。具体的には,小学校低学年における実践例の分析を通して,子供の音楽的認識の深化の過程について若干の理論化を試みた。いうまでもなく,音楽的認識の過程の整序というこの作業は,学力の措定という所与の目的との連関の中に位置しているものである。