抄録
大学進学を目指す高校生が文系・理系の選択をどの時期にどのような要因で行うか,文系選択者が中学校理科のどの単元で学習に困難を感じているかを明らかにするために,中学校3年生~高校2年生(N=307),高校1年生,2年生(N=503)を対象に2種類のアンケート調査を行った。その結果,中学校3年生から高校1年生の時期に文理選択をする生徒が多いこと,教科の得意・不得意がコース選択の大きな要因となっていることが分かり,特に中学校段階での数学,理科の学習が重要であることが分かった。文系と理系の比較では,文系選択者の方がコース決定時期が遅く,得意・不得意教科の偏りも大きいこと, さらに文系選択者の場合,理科については割合の計算を含む内容および,不可視な現象に関する内容への理解に課題を有することが明らかとなった。