子どもは持続可能な衣生活のために環境条件に応じた衣服の着方を意思決定しなければならない。近年問題となっている紫外線による人体への影響を軽減するために,衣服による紫外線対策を学ぶ教育内容の開発を試みた。紫外線対策の必要性と日常生活における衣服による紫外線対策に関する内容が必要となり,本研究では環境条件( 季節, 天気, 場所) の違いによる衣服の紫外線透過を明らかにし,子どもが活用可能な測定法を検討した。主な結果を示す。(1) 衣服は紫外線の透過を低減する。紫外線の透過は布地の緻密さや厚さ, 色の明度が関係する。(2)これらの特性をもつ試料布ならびに衣料において,晴天・屋外では衣服の紫外線透過率は高かった。春季は紫外線量が多く透過量も多かったが,季節による有意差は認められなかった(ANOVA,p<0.05)。紫外線対策は夏季に盛んに行われるが,冬季,春季も必要である。(3) 衣服の紫外線透過量を定性的に調べる方法としてUV ラベル(紫外線インジケータ)の超高感度ラベルの活用が有効であった。得られた知識をもとに,子どもは持続可能な衣生活を目指した意思決定が可能になると期待される。
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