本研究では,粒子領域の学習内容において,「理論」の構築過程に基づく学習指導が,科学固有の認識方法の獲得や人間性の育成に有効か否かを検証することを目的とした。科学理論とは,観察できる個々の現象を統一的に説明することのできる考えと捉えることができる。そして,科学理論は直接的に実証することが困難であることから,その考えが個々の事象を一貫して説明しやすく,後に実験により検証される新たな予測を生み出すこと,仮説演繹的な実験により反証されないこと等を通して確立されていくという構築過程を持つ。このような考え方に基づく学習指導を小学校第5学年の児童を対象に「もののとけ方」を通して実践を行ったところ,本研究の目的を達成したと判断できる結果を得ることができた。