日本教科教育学会誌
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タスクの繰り返しを中心としたスピーキング指導と高校生の英語発話の質の向上
千菊 基司
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2018 年 40 巻 4 号 p. 25-37

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抄録
本研究は,発話過程の形式化の速度向上を図る指導がもたらす,発話の質の向上を検証することを目的として行った。高校2年生の1クラス(スピーキング群)を対象に,複数の絵によって示されたストーリーテリングの活動を一定期間行い,その前後の発話の質の変容を,同様の指導を受けていない別クラス(対照群)と比較した結果,複雑さと流暢さに向上が見られた。特に,絵に付随して与えられた文字情報の発話への取り込み方を比べると,スピーキング群の発話の質が向上したことがわかった。スピーキング群の経験した活動では,概念化の段階で受ける認知的負荷を減らし,形式化の段階で既習語彙へのアクセスに必要な注意資源を確保して練習することが可能になり,複雑さ・正確さ・流暢さのそれぞれの観点から質の良い発話が練習時に達成され,指導後の調査での発話の質の向上につながったと考えられる。
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© 2018 日本教科教育学会
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