抄録
本研究は,中学校家庭科における洗剤の選択に関する授業を分析し,授業を通して生徒のどのような汎用的スキル,態度・価値が変容したのか,またそうした変容はどのような汎用的スキル,態度・価値の影響を受けて起こったのかを明らかにするものである。2016年7月~10月に実施した質問紙調査を用いて,単元前後の得点を対応のあるt 検定によって比較するとともに,重回帰分析により因子間の関係を検討した。その結果,授業を通して全体では態度・価値の「協力しあう心」の得点が,男子では汎用的スキルの「協働・メタ認知力」と態度・価値の「より良い社会への意識・好奇心・探究心」の得点が向上したことが明らかとなった。また,単元後の「協働・メタ認知力」には単元前の「協力しあう心」が,単元後の「よりよい社会への意識・好奇心・探究心」と「協力しあう心」には単元前の「批判的思考力」と「協働・メタ認知力」が影響を与えていたことが明らかになった。