抄録
数学科における「深い学び」を実現するためには,教師の授業力向上が一層問われている。教師の授業力向上には,既存の授業観を振り返りながら授業改善を試みることが必要となる。特に,数学の授業改善の方法的特殊性として,問題解決的な学習を日常化するために,授業の枠組みを具体化することは重要である。そこで,本研究では教師の自己省察を授業改善の方法として位置付け,具体的実践から教師の指導観の修正と授業改善の視点を整理することで,教師の成長過程モデルを検討することを目的とした。
教師の成長過程モデルを基に,授業から得た実践知や授業記録から自己省察を行うことによって,授業の枠組みが再構築され,指導観が変容し授業改善に繋がることが確認できた。また,数学教育における教師の自己省察の視点として,「問題」の変容から具体的実践を省察すること,教師の成長過程モデルを基に授業の枠組みの部分修正を行うことの重要性が示唆された。