本研究の目的は,初級L2学習者のスピーキングに関わる問題として挙げられる「即興性」の本質を明らかにすることである。まず,「即興性」を,Levelt(1989)の4つの機構を漸増・並列処理させようとするプロセスと捉えた。そのうえで,L2の「即興性」には,主に概念処理・形式処理間の注意資源の配分の問題と,母語の介入に関わる問題があると指摘した。その際,言い換えの方略は,日本人英語学習者を含む初級L2学習者の「即興性」を支援する具体的な方略として捉えられることを示した。これらを踏まえ,最後に,初級L2学習者の「即興性」の本質について整理した。