2024 年 47 巻 2 号 p. 39-48
本研究の目的は,小学校教員のティーチャートークの質を高める研修を研究し,その有効性を検証することである。そのために,MERRIER Approachの7項目(渡邉・酒井・塩川・浦野, 2003)を参考にして,授業動画,ルーブリック,手引きなどの研修用デジタルコンテンツを開発し,16名の小学校教員を対象に研修を行った。検証方法には(1)質問紙調査(2)参加者の省察(3)ディスコース分析を用いた。その結果,参加者のティーチャートーク実践に対する自己効力感が高まる傾向が確認され,特に教職経験年数が短い教員に効果が顕著に見られた。また,研修用デジタルコンテンツが自己省察や自己修正のための指針となることが示唆された。事前に教員が苦手だと感じていた「具体例」と「言い換え」は事後には著しい伸びが見られた。参加者の省察からは,自身のティーチャートークについてより分析的に捉え,改善しようとする記述が確認された。